某大学の経済学部の編入学試験で
「為替レートと日本のあるメーカー(輸出産業)の株価のグラフ
という問題があった。確かに、それは円高になればそのメーカーの株が下がって見えるグラフだった。が、この場合円高は輸出産業の利益を下げ、その株を下げると答えてよいのか。本当に、「円高は輸出産業の利益を下げ、株を下げる」のか。この点を考えよう。
(1) 円安⇒
とい
(2) 輸出増加⇒輸出産業の利益増加
これもよい。しかし、
(3) 輸出増加⇒株価上昇
という点は、多くの人々は認めるかもしれないが実に怪しい。
株高と実体経済は別
例えば、
「あなたは死体を目にした。そこに警官がやってきた。警官は、『お前がやったんだろう!』といって、あなたを逮捕した。あなたは『僕じゃない・・・』と返す。」
この文だけを見れば、あなたが人殺しかどうかわからない。ただ人が死んでいるのを見ただけ。これを、
「あなたは輸出産業の株高(死体)を見て、買った(目にした)。そこに別の投資家(警官)がやってきた。投資家(警官)は、『円安だから株を買った』(『お前がやったんだろう!』)といって、その株を買った(あなたを逮捕した)。あなたは『株が上がってたから買っただけ』(『僕じゃない・・・』)と返す。」
すなわち、あなたは株を買った理由が「円安による産業の利益増加を見て買った」というよりも、「株価が上昇しているのを見て株を買っただけ」となる。あなたはあなたの前の人も「株価が上昇しているのを見て株を買っただけ」の人かもしれないし、その前の人もそうかもしれない。
たとえ、その中に輸出産業の財務諸表をしっかり見て株を購入した人(機関投資家など)も含まれようが、むしろ株を買う人はあなたのような人(個人投資家など)かもしれない。
つまり、株が上昇していることが、企業の輸出増加による利益増加を反映し、将来景気が回復することを予知していると
円安の正体とインフレ
為替レートの変動は、期間の短い方から順に、①内外金利差、②経常収支、③物価の3点で説明がつく。
円安は、インフレがまだ進んでいないことから、日本の金利が低いことと経常収支赤字の結果(純輸出<0⇒円安)と考えるのが妥当である
インフレを起こし、円安に誘導し、輸出を増やし、景気を回復する。途中株高により資産効果から消費や投資が増加し、それが国民所得を増加せしめ、景気をさらに押し上げる。
いいこと尽くしだが、このとき日本の金利が上がればどうなるか(金融緩和時は上がる可能性はないが)。輸出が伸びなければどうか。問題はインフレまたは円安がそう簡単に起きるかどうかだ。(この点は次回)
デフレスパイラルの意味
インフレにすれば景気が良くなる。この議論の背景には「デフレスパイラル」という問題があるように思う。
「デフレにより、企業の売上、利益が減り、人々の賃金が減って、消費が減り、景気が悪くなる」
つまり、
(4)デフレ⇒景気後退
という図式が成立する。これは正しいだろうか。
まず、デフレ・インフレはあくまで指数で、モノの価格そのものではない。そして、デフレそのものが不況の原因で
米国の教科書にはデフレスパイラルの文字がそもそ
小生の知る限り、フィッシャーの
『人々が将来デフレになるだろうと考え、今の実質利子率
この点から進めると、名目利子率を金融政策で下げようと
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