一橋大学創立125周年記念講演会における速水優元日本銀行総裁講演「私の中央銀行論」からの一節。
『…どうしても、目先の景気を良くしたいという誘惑が生じやすくなります。中央銀行という制度は、人々がこうした目先の誘惑を自制するために作った、自己統治のメカニズムといっても良いかもしれません。
...中央銀行の役回りは、目覚し時計に喩えられることがあります。朝起きるのはつらいし、目覚し時計はうるさいですが、そうしないと授業に遅れて単位が取れないかもしれない。だから、少し長い目で見た幸せを追求するために、夜には目覚し時計をセットするわけです。中央銀行は、うるさがられても、きちんと時間がくれば鳴って、皆さんを起こさなければなりません。目覚し時計が鳴るのが好きな人はいないでしょうが、目覚し時計が必要な物であることはみんなわかっています。』
今のような日銀総裁人事の事態を考える上で、もう一度基本に返ってじっくり日本銀行の役割について考えたい。
その意味で、速水氏の「私の中央銀行論」は広く推奨される文献だと思う。日本銀行は目覚まし時計であるというのは、的を得た喩えだと思う。
補論
速水氏の旧制東京商科(一橋大)での指導教官である木村元一氏は小生の母校、旧制和歌山高商(和歌山大)出身である。
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