Thursday, March 20, 2008

日銀総裁人事について(2)

日銀総裁人事の雲行きは晴れやかでない。後任の総裁が決まらないという史上稀なる様相を呈している。

再度私見を述べてみたい。私の結論は、「物価の安定と金融システムの安定を追求できる人物が日銀総裁/副総裁にふさわしい」。

まず争点を整理したい。以下、3点。

(1)財務省出身者はダメ?

小生は、物価の安定と金融システムの安定をとことん追及できるなら、別に日銀総裁が財務省出身者でもいいと考えている。前回の所見は少し誤解を招いたかもしれないが、財務省出身者ではダメだとはいっていない。

ただ、総裁の「財務省出身」という経歴が、

財務省の財政政策

⇒国債の日銀引受けへの誘引

⇒日銀の独立性(日銀法改正の理念)への疑念

⇒日本の円への不信

という「シグナル」として内外の政策/市場関係者に受け取られる蓋然性(可能性)を否定できない、ということである。

小生が問題視するのは、総裁の経歴が与える「シグナル効果」であり、植草氏の言う「官僚利権構造」では必ずしもない。

(2) 高い見識が必要?

これは小生必ずしも必要ないと考えている。ただ、「高い見識」が物価安定ならびに金融システムの安定にコミットするという政策/市場関係者への「シグナル」になりうるのであれば、必要であるともいえよう。

(3)日銀の独立性とは?

色々議論があろうが、先の森永氏の見解にもあるとおり、日銀が何をやってもいいということが、「日銀の独立性」ではないと考えている。日銀の政策決定において、政府の圧力から独立していることがそれではなかったか。

昭和恐慌の折、かつての軍部が高橋是清総裁に軍事費調達のために国債引受を迫ったように、たとえば大きな減税のために日銀総裁に圧力がかかるようなことがあってはならないということである。(かつてゼロ金利政策の折、速水優元日銀総裁が「(政府から)石が飛んできた」と公にもらしたのは記憶に新しいが、石が飛んでこようが、ミサイルが飛んでこようが日銀の政策に支障がないようにしなければならない。)

物価の安定、金融システムの安定のためにその時々の市場の動向を睨みながら臨機応変かつ機敏に対応し、常に政府との連絡を密にしながら、「日銀独自に」政策を決定、遂行そして内外に政策決定、経済情勢についてアナウンスすることが理想であり、そうしなければならないのではと考えている。

総裁の仕事は、そのための強力なリーダーであって、決して独裁者的になんでも勝手に自由に決めることが理想ではないだろう。(何のために専門の政策審議委員がいるのか?)

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