http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/cabinet/2013/2013_basicpolicies.pdf
2013年6月14日の閣議決定された「骨太の方針」における
「一人当たり名目国民総所得(GNI)を10年後に150万円以上増加する」という文言の根拠について考えた。
「黄金律」の考えに従って考えよう。黄金律とは、一人当たり消費量が最大となる一人当たり資本量のことを指す。
具体的には、一人当たり資本量をkとして、
(1)⊿k=sf(k)-(n+g)k, s:貯蓄率,f(k):一人当たりGNI,n+g:実質GNI成長率
(2)f(k)=k^α,α:資本分配率
として、⊿k=0のときのkの値をk*として、
(3)c=(k*)^α-s(k*)^α,c:一人当たり消費量
を最大にするk*を求める。
具体的な計算は省くが、日本はs=21%,α=30%なので、日本は黄金律に到達していない。黄金律を達成するためには、貯蓄率を42.9%だけ増加させなければならない。
よって、1人当たり資本ストックを61.3%、一人当たり生産量(一人当たりGNI)を18.4%上昇させなければならない。
そうすると、2011年の一人当たりGNIは380万円なので、450万円まで、すなわち70万円だけ増加させればよい。
150万円だけ増加させるには今後10年間でおよそ年率4%弱(3.9%)だけ上昇させる必要があるが、70万円なら10年で年率2%弱(1.8%)上昇で済む。
2011年の人口成長率は0.3%だから0%だと仮定すれば、
インフレ分を除いた実質経済成長率を今後10年でおよそ2%成長させれば、国民の生活水準は改善する。
補足(03/02/2014)
(3)式より、c=(k*)^α-s(k*)^α=(k*)^α-(n+g)k*
よって、k*={α/(n+g)}^{1/(1-α)} となる。ここで、⊿k=0のとき、
k*={s/(n+g)}^{1/(1-α)} なので、
黄金律では、
(4)s=α
が成立する。本文では、s<αであることが言え、sをαの値にするには42.9%だけsを増加させるべきだと言った。