Sunday, July 01, 2007

明るい政策

竹中平蔵慶応大学教授(前総務相)は非常に明確なコメントを発している。「問題はデフレであり、デフレ下では経済は拡大しない(期待成長率は上がらない)のであり、デフレの解消が先決である。」

全くそのとおりである。デフレ下では、支出(需要)が抑制される。今日買い物をするよりも、明日買い物をした方が物の値段が安いから得なのである。つまり、実質利子率(名目利子率―インフレ率)がかなり高くなるので、将来の消費の効用が低めに割り引かれる結果、消費者の効用最大化行動により、今日の消費を増やすのを控え、明日の消費を増やそうとする。(Euler方程式の含意を思い出せ!)

支出が抑制されると、経済の供給は拡大しない。したがって、デフレを解消することが、経済の拡大の要因になりうる。デフレを解消するには、需要を拡大させる必要がある。つまり、インフレ期待を起こせば、実質利子率は低下し、今日の消費の効用が高まりうる。インフレ期待が起こることは、この点において、需要が拡大することと同義である。

しかしながら、ケインジアン的な財政拡張による需要の拡大(インフレ期待の創出)は、将来の増税を恐れる消費者の支出抑制行動により、支出(需要)が伸び悩む可能性がある。だたし、多くの消費者・企業が資金制約に直面していれば、その可能性は低い。

しかしながら、将来の経済の先行きが明るいことが明確になれば、すなわちインフレが期待されるような政策が行われれば、経済の支出は拡大し、実際に経済の成長は高まりうる。そして、竹中氏はこのような「明るい見通しを持った政策」が求められると主張しているのだ!

[大阪 30日 ロイター] 竹中平蔵慶応大学教授(前総務相)は30日、個人投資家向けのシンポジウムで講演し、マクロ経済運営の最優先課題はデフレの解消だと指摘、デフレ下では経済は拡大しない、と述べた。
 
また財政の建て直しも重要課題としたが、「2010年代初頭にプライマリーバランス(基礎的財政収支)を回復させるとの第一の目標達成には、消費税上げは全く必要ないことが明らかになりつつある。安倍政権も2011年度のプライマリーバランス回復は消費税なしでやると言えばよい。そのうえで、その後の社会福祉をどうするかは考える。一歩一歩前に進めていくことが重要だ」と述べた。
 
 日本経済については「この4年間2%強で推移している。日本の潜在成長率は、内閣府試算では2%弱で、潜在成長力を上回る良い経済状況が続いている」と評価した。そのうえで米国の潜在成長力は3%強だとし、「(日本経済を)3%水準に上げていけるかが問われている」と強調した。来る参院選の争点についても「期待成長率を高める政党はどこかが問われるべきだ」と強調。

中期的な為替動向について竹中氏は(1)世界的な外貨準備の資産構成の変化、(2)改革実行による3%成長実現への期待──を挙げ、「これから円は高い方に振れるだろう」との見通しを示した。このうち、外貨準備の資産構成に関しては「世界的に外準の使われ方が急速に変わってきている」と指摘。世界の外貨準備の円建て資産比率は8年前の7%から、現在3%まで低下したが、日本経済の回復に伴い「円建て資産への潜在的な需要が高まる」とした。

1 comment:

Anonymous said...

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