Tuesday, July 25, 2006

天神祭

今日7月25日は、天神祭り本宮である。天神祭りのクライマックスである。私を含めた大阪人は「天神さん」の愛称でそれを呼ぶ。去年私は天神祭を生まれてはじめて肉眼で見た。

その印象は、夕闇に照らされ、たゆたう妖艶な灯火、遠くからかすかに、そして時に強く木霊する太鼓囃子は、躍動感の中にも静けさと清涼、落ち着きと癒しの空間をわれわれに与えるようであった。大阪市内では御堂筋パレードよりも、本格的で、大規模な市民のお祭りである。大阪に来られるなら、一度天神祭を見に来て欲しい。

大阪各地だけをとってみても、祭りは多い。秋に行われる岸和田のだんじり祭も大阪を代表する祭りで、天神祭に負けずかなり煌びやかで躍動感に満ち溢れる。毎年死者がでるくらいである。

さて、祭りは、神への感謝、豊穣への祝福という意味合いがたいてい込められているが、経済学的に見れば、お祭りはいったい何なのか? こんな疑問がうっすら頭をよぎる。

ずばり言うと、お祭りは地域経済への需要刺激策の一環ではないかと私は考えている。かつて、90%以上の国民が農民だったころ、農民にとって一番の不幸は、天候不順による作物の不作(供給不足)だった。それは、まさに死活問題で、あってはならないことだった。

逆に、好天による作物の豊作(超過供給)もいいことばかりではなく、農作物の価格を暴落させ、農民の生活を貧しくさせた。このとき、地域の需要を刺激することで、余った作物を消化させる必要があった。
需要が低迷したとき、需要を活性化させる一大イベント(現代のようにダムや高速道路、ビルを建築するような)は農民社会にはなかった。そこで低迷した需要を刺激させるため、米を炊き、酒を大量に持ち、魚や野の惣菜を作り、法被を仕立て、山車や神具を作ったりなどなど、することで地域の米屋、酒屋、魚屋、大工などへの購買量を拡大させ、それが地域の流通に関わる商人、町人を潤し、波及的に生産者であり消費者である大多数の農民を潤した。

以上は私の推察であるが、地域のお祭りには地域の需要を活性化させる「ケインズ政策」の意味合いがあったのかもしれない。お祭りは豊作時の景気を刺激し、すべての人を潤し、神へ豊穣を感謝する幸いを与えた。お祭りは天候のほかに、地域の景気変動の大きな要因ではなかったのだろうか。

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