消費税が5%から8%に上昇する。100円のモノが105円、108円と値上がりする。もしくは、商品は3%値上がりする。しかしこれはよくある「勘違い」である。
増税の経済活動への影響はそう単純ではない。
増税によりモノの値段は上がる。モノの取引量は減る。しかし、経済全体の物価が上がるか、経済全体の購入量が減少するかは別問題である。
増税によりモノの価格が上がると、
(1)上がった商品を買い控え、相対的に安くなった商品をより多く買う。(代替効果という)
(2)商品の価格が上がると、購買力(財布の持ち分)は減り(所得効果という)、
1)商品全体を買い控える(商品は正常財)
2)商品全体を買い増す(商品は劣等財)
3)商品全体を普段通り買う(商品は中級財)
という影響を同時に加味しなければならない。
(1)の効果は常に起こり、(2)の効果は商品の性質によって働き方が違う。重要なことは、所得効果がどの方向に働くかである。
例えば、正常財を考えると、値上がりした商品について、
(1)相対的に安くなった商品の購入量は増え、
(2)商品全体の購入量が減り、
結局、商品の購入量が増えるか、減るか判然としない。
ここで、(1)の効果が(2)の効果を上回ると、経済全体の購入量はあまり変わらない、むしろ増えるかもしれない。※「かもしれない」というのは、結局は実証的に確かめてみないと分からないからである。
物価についても、正常財には
1)必需品
2)贅沢(ぜいたく)品があり、
必需品が多い経済、つまり、あまり商品が流通していない貧しい社会だと、(1)の効果が効かなくなるので価格が上がりやすくなり、消費者への負担が大きくなる。
逆に、贅沢品が多い、つまり商品の多い発展した経済だと、(1)の効果がよく効くので、価格は上がりにくく、消費者への負担は小さい(ただ、生産者への負担は大きくなる)。
いずれにせよ、 増減税は、市場経済の取引量や価格に影響し、消費者や生産者へ何らかの負担をもたらすが、経済全体の商品の購入量や物価変化を予期することは容易い作業ではない。
参考
http://www.theatlantic.com/politics/archive/2009/02/an-interview-with-robert-barro/370/
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