経常収支赤字が続いている。
財務省が14日発表した国際収支状況速報によると、11月経常収支は単月として過去最大の5928億円の赤字となった。経常赤字は2カ月連続。〔ロイター東京 1月14日〕
経常赤字は2013年10月から続いている。一体日本経済にどのような影響を与えるのか。3本の式で説明したい。
GDP=消費+投資+政府支出+輸出-輸入・・・・・(1)
GDP-消費=貯蓄+税金・・・・・(2)
よって、(1)式と(2)式から、
(貯蓄-投資)+(税金-政府支出)=輸出-輸入・・・・・(3) となる。
(3)式は、日本経済の金回りを表している。気を付けたいのは、この等式は常に成り立つ恒等式と呼ばれるものであるということ。すなわち、2X+3X=5Xのような式である。
(3)式左辺が内需(左から、第1項は民間需要、第2項は公的需要)、右辺が外需(経常収支)を示している。
日本の場合、左辺第1項、国内への投資(民間需要)が少ないため、余った貯蓄(余剰資金)を日本政府に貸し出し(国債を購入する)たり、または海外へ貸し出してきた。
しかし、近年の日本経済の場合、(3)式右辺はマイナス、つまり経常収支赤字(輸入が輸出を上回っている)であるため、その赤字を賄うために、国内の余剰資金だけではなく、今後海外から外貨を借りなくてはならなくなったのだ。これが、経常収支赤字の裏側に存在する資本収支黒字で表される。
日本国債や他の日本の資産が海外投資家へと流れると、日本への資本流入が増し、資本収支は黒字になってくる。
資本収支はずいぶん前から黒字が続いていたが、一つの懸念は、海外銀行・保険会社などの外国人投資家により日本国債や株式が保有されると、何かのショックで、国債や株式が売られて価格が安くなることで、日本の金融機関の保有資産の価値が目減りしかねない、ということである。
そうなれば、金融機関のバランスシートが悪化し、自己資本比率維持のために貸し渋りを招くかもしれない。強いては、日本経済に信用不安が起こりかねない。
確かに、これは極論かもしれない。しかし問題は、理論家がどう見るかではなく、海外の投資家が日本の将来をどのように見るかである。仮に、悲観的な見方が海外市場で大半を占めれば、日本経済の先行きにたちまち暗雲が立ち込める可能性が増す。
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